最初からBLACK SHINEが全くの悪だったかと聞かれれば、答えはNOだ。 ――正義と秩序を誰よりも守りぬいていた人。それが‘彼女’…BLACK SHINEリーダー、ヘレンだった。 元々BLACK SHINEは今のcross*unionと同じような組織だったのだ。少なくとも、裏unionなどには敵対以外縁の無い場所だった。 だから俺もセイトも、‘彼女’の右腕として、BLACK SHINE幹部として動いてきた。 あの日、までは。 ――B-1【それが運命だと言うのなら】―― 本部が空中という発想が面白いよな、と。俺とセイトがBLACK SHINEに入ったのはそんな安易な理由からだった。 BLACK SHINEは其処まで有名なunionでは無かった。唯偏狭の地に本部があるunionとしては、有名だったかもしれない。 俺、フォート・グローバルとセイト・ライラは幼少期からの幼馴染だった。お互いがお互いの思い人と結婚してからもその仲は健在で、どちらかが家 に遊びに行ったり、遊びに来たりというのもよくある光景だった。そして妻であるサラ・グローバルもそれを快く受け入れた。 交流をしている理由には俺とセイトの仲も関係しているが、何よりもの理由は同じ年頃の子供が居るという事だろう。 俺とサラの子、レインと、セイトとセイトの妻ユウの子ノエル。2人が知らない内に仲良くなってたのは流石に驚いた。 驚いたが、自分達に似て子供まで仲良くなってくれるのは嬉しいことだ。 将来、レインとノエルが俺とセイトと同じくらい信頼し合える親友になってくれれば。俺達はそう思っている。勿論、サラやユウも。 「今度から此処で勤める気なんだ。お前もどうだ?」 そんな中、セイトが持ってきたのは1枚のunion入団申請書だった。 ――BLACK SHINE。聞いた事が有るよな無いような…そんな朧気にしか覚えていないunionだったが、セイトに押されて俺も入団した。 俺は元々医者になりたくて勉強していたんだが、途中で投げ出した半端モノだ。今の生活もサラがunionで働いて生計を立てている。そんな生活を 変えるのに、セイトが持ってきた入団申請書は丁度良かった。 そういう訳で一緒にunion本部まで、入団用紙をリーダーであるヘレンに出しに行ったのだが、本部への行き方が町外れにある小さな転送装置か ら行くっていうのだから面白い。 転送装置が有る場所は町の下水道の深い所で、昔セイトと下水道を探検した事を思い出した。 「はじめまして。私はヘレン。union‘BLACK SHINE’リーダーよ」 そんな空中要塞とも呼べる様な大きさのunion本部を管理しているリーダーが若い女性だったのにはもう目が飛び出すかと思った。 唯一目見て分かる事がある。 彼女は、悪い人間ではない。純粋に世界の平和を望むような、そんな瞳をしていた。 この人の下で働けるのなら、確かに良いかも知れない。 有名なunionではないし、給料もまじまじという感じだが、此処で働いて悪い事などきっと無いのだろう。 俺もセイトもBLACK SHINEへの入団を決意し、ヘレンは翌日から仕事を付けてくれた。 ――どうやらBLACK SHINEに入団した人間には寮の様に部屋を1つ貸してくれるみたいだ。恐らく殆どの人間は此処で暮らすことでいちいち転送 装置を使ったりすると言う手間を省いているのだろう。 でも俺にもセイトにも帰る家がある。家ではレインがお腹を空かせているだろうし、サラも家で待っているだろう。面倒だが本部までは毎日通う事を 決意した。それはセイトも一緒だった。 来た道の下水道を通り、家に帰る。 セイトの家にはノエルとユウ、そして俺とサラを待つレインの姿があった。 良くある光景だ。サラが働いている関係で、夕飯はセイトの家で集まって食べることが多い。 俺とサラの2人に用事があるときは、ユウにレインの面倒も見てもらっている事もある。その逆もありだ。ユウとセイトの2人に用事があれば、俺達 がノエルを預かっている。ノエルとレインが仲良くなるのも有る意味必然だったかと、少しだけ思って笑ってしまった。 BACK MAIN NEXT *補足* ヘレンはウルフドール族です。だからどんな人間の姿にでもなれます。 今でこそ幼い少女の様な姿をしてるヘレンですが、この当時はもう少し年齢を高くした姿でいました。大体25歳くらいかなあ。 |