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ノエルが放った上級魔術‘グラスチナマーズ’の後。あたし達がどうなったかは分からない。 けれど目覚めた時。 其処にはロアの姿しかなかった。 *NO,14...別行動・前* 目を開けて真っ先に視界に入ったのは、夕暮れの光だった。 体を起こしてみると、足に激痛が走る。…足を少し挫いたかもしれない。 周りを見回すと、先程の自分のように気絶しているロアの姿以外見えない。 マロンなら多分大丈夫だ。自分で回復魔術の使用が出来る。 レインもああ見えて結構大丈夫そうだと思う。体が丈夫そうだったし。 心配なのはリネとセルシア。2人は回復の手段を持ってないだろうし、治癒力もあんまり強くないと思う。酷い傷を負ってなければ良いのだが…。 とにかく、4人を探しに行かなくては。 ロアを起こそうとして――人影が見えた。 慌てて後ろを振り替える。 だが目の前に居たのはBLACK SHINEでも無ければモンスターでもない。…女の子だった。 「…大丈夫?」 「へ?…あ、うん」 「森で倒れてたから…。軽い治療はしたけれど」 ――どうやら彼女が助けてくれた様だ。 だから目立った外傷が無いのかと、改めて納得した。 「助けてくれてありがとう。あたしはイヴ。こっちの寝てるのがロア。貴方は?」 「…アシュリー」 艶のある長い黒髪を靡かせながら、彼女が小さく呟く。 何処と無く不思議な雰囲気を感じた。 それと…俗に言う‘デジャビュ’と言う奴だろうか。彼女、何処かで逢った気がする――。 「……っ」 そんな事を思っていると、隣で気絶していたロアが漸く目を開けた。 「…?イヴ?」 「おそよう。この寝ぼすけ」 そう言って彼の肩を軽くどつく。ロアが苦笑しながら体を起こした。 「…キミは?」 「…アシュリー」 ロアの問いに、彼女は先程と同じ回答を返す。それ以外の素性は明かしたくないのかもしれない。 助けてくれたのだし、話したくない事を無理に聞こうとも思わなかった。 「ねえアシュリー。あたし達以外にも倒れてる人は居なかった?」 「…見てない」 首を横に振りながら彼女が応える。…やはり逸れてしまった様だ。早く探さなくては。 「誰か探してるの?」 「仲間が後4人居るの。…多分皆無事だと思うけれど……」 「…ふうん」 彼女が素っ気無く言葉を返した。 辺りを見回す彼女に、ロアが問い掛ける。 「俺たちは仲間探しに行くけど…アシュリーはどうする?」 「…着いてくわ」 意外な返答だった。だが着いてきてくれるのなら心強い。彼女は回復魔術が使える様だし、サポート役としてとても役立ってくれそうだ。 イヴを先頭にしてロアとアシュリーは森の中を歩き出した。 * * * ――目を覚ますと、滝水の様な音が聞こえた。 体を起こしてみるが、節々が痛む。結構酷い傷負ったのかもしれない。そんな自覚無いのだが。 自身の体を見回すと足首から血が流れていた。…結構酷い傷かもしれない。 加えて軽く腹部が痛いのだが、目立った傷が無いので強く強打しただけだろう。 問題なのは左手首だ。脱臼したのか骨折なのかよく分からないが全く動いてくれない。…正確に言えば動かそうとすると酷い傷みが襲って反射的 に動くのを止めてしまう。 右手を使って何とか回りを見つめる。 「…リネ?」 気絶しているリネの姿が目に入った。痛む足を無理矢理引き摺って彼女の傍に寄る。 彼女の方は余り酷い傷を負っていない様に見えた。 右手で体を揺すってると、彼女が小さく目を開く。 「…セ、ルシア?」 「……痛む所有るか?平気?」 目を覚ました彼女に問い掛ける。彼女が体を起こしながら外傷を確認した。 どうやら両腕が痛むようだが動かない訳ではないらしい。自分より酷い怪我では無さそうなので安心した。 リネがセルシアの姿を見るが、顔を強張らせる。 「あんたの方が酷い怪我じゃない。馬鹿」 右手を握りながら彼女が言ってきた。その言葉に苦笑で返す。 リネが腕を軽く回しながらその場を立ち上がる。 「リネ?」 「とりあえず何時までもこんな所に居る訳には行かないでしょ。みんなを探さないと。 …ほら。手、貸してあげるから」 足の傷の事を気にしているのか、リネがそう言って手を差し出してきた。 御好意に甘えてその手を握り立ち上がる。…意外と足が痛んだ。思わず顔を顰める。 「…やっぱり痛い?」 顔を顰めたのが見えていた様だ。リネが少し不安げに問い掛けてきた。 「平気だよ」 慌てて笑って返す。…とは言っても、本心では洒落にならない位痛い。 立ってるだけでも痛いのに、まともに歩けるかなんて聞かれたら相当ヤバそうだった。 そんな事を考えているとリネが深く溜息を吐く。 「足、痛いんでしょ。隠す必要とかある訳?」 リネがそう言いながら肩を貸してくれた。ずっと前からお互いの事を知っているだけ合って、嘘は結構見抜かれる様だ。苦笑しながらも彼女にお礼 を言い、肩を手を付いて少しつづ歩いた。 「ま、適当に歩いてればその内誰か見つかるでしょ。あんたが歩ける所まで歩くわよ」 「分かった。…ありがとな、リネ」 「……」 リネはその言葉には答えなかった。 彼女に肩を借りながら少しずつ森の中を歩く。 日は既に沈みかけの位置に合った――。 * * * 目を覚ましたのは、沈みかけの夕日が見える時間だった。 体を起こすと、マロンが辺りを見回すのが見える。 彼女は此方に気付くが、小走りに走り酔ってきた。 「大丈、夫?」 「…ああ、大丈夫」 体を起こしながら彼女の言葉に頷く。体に外傷は無かった。…恐らく彼女が回復魔術を使ってくれたのだと思う。 「回復術、使ってくれたんだろ?ありがとな」 「いえいえ」 彼女の言葉に2人で思わず笑ってしまう。 そして先ほどのマロンと同じように辺りを見回した。――イヴ達の姿は、見えない。 「…俺達だけか?」 「うん…。周りを探し回ってみたんですけど、近くには何処にも…」 「…そうか」 イヴとロアなら心配は無いだろう。あの2人は頑丈そうに出来てそうだし。…ぶっちゃけ死にそうにない。 セルシアも‘VONOS DISE’の副リーダーならどうにかなりそうだ。 そう考えるとやっぱり一番心配なのはリネだ。 6人の中では一番低い年齢で線も細い方だし、あの調子だと余り遠出とかをしたことが無さそうだ。せめて誰かと一緒に居ればいいのだが。 「ま、とりあえず地道に探そーぜ。その内誰か見つかるでしょ」 「はいっ」 レインの言葉にマロンが頷き、その場を立ち上がる。 レインもその場を立ち上がった。軽く伸びをしてから、空を見上げる。 沈みかけの空。もう直ぐ夜が来る。 …暗くなる前に1人でも見つかれば良いのだが。 マロンがその場を歩き出すのに釣られ、レインもまた彼女と同じ方向を歩き出した。 BACK MAIN NEXT |