――拝啓。大切な仲間達へ。


*NO,000...Dear my,,,*


経緯は全てロア達から聞いた。あたしの体に夢喰いが眠ってしまった事も、そして瞳が緋色に染まってしまったのもその後遺症という事も。
瞳の色は仕方ないとしてもあの気持ち悪いのが体内に眠ってるとなると正直何とも言えない感じだ。
とは言え、文句を言ったって夢喰いが出て行く訳でも無いんだから諦めるしかない。




…あれから数ヶ月。

アシュリーは、グランドパレーに戻った。
‘ウルフドールの王’という、彼女に課せられた使命と、もう一度向き合う為に。
――困ったことに彼女はフェンネルと戦った時、有る術の呪いを受けてしまったらしい。
それは永続効果を持つ術者の命を掛けた術。二度とウルフドール本来の姿に戻れなくなくなるという永続の呪い。
彼女はこの先ウルフドール族で有りながら二度と獣の姿になる事なく、王として勤めていかないといけないのだ。
正直他のウルフドールがそれを受け入れるのか心配だったが、アシュリーは大丈夫の一点張りでグランドパレーに帰って行ってしまった。
願わくば、彼女が迫害されるなんて事が有りませんように。

セルシアはVONOS DISEのリーダーに就いた。
惨劇の日から何も変わらず、ほぼ壊滅状態だったVONOS DISE本部をたった数ヶ月で元通りの大型unionに戻してしまった辺り、やはりセルシアは
リーダーに向いていたのだなと思う。
――俺はリーダーみたいに強くないけれど、それでもあの人が目指していたunionの有るべき姿に少しでも近づけるように、今度は俺だけの力で頑
張ってみるよ。
セルシアは去り際にそう言った。そして言葉通り、彼一人の力でVONOS DISEを戻して見せた。
だから時々心配になる。また無茶してないのかなとか、そんな事を。

リネはレグロスとネオンから時期SAINT ARTSリーダーに任命された。
将来、レグロスとネオンがunionを離れた時は、彼女があの大型unionを引き継ぐことになる。
リネは幼いとは言え知識と魔術は天才的だ。戦闘を中心にする訳ではなく、情報収集等を中心とするunionであるSAINT ARTSにとっては、リネの
様な子がリーダーに就くのがふさわしいと思ったのだろう。
そんな彼女は今、セルシアとちょこちょこ強力しながら、自分の背中に彫った烙印――術式解呪烙印――をより完璧な物に仕上げる為研究を重ね
ているみたいだ。リネでも分からない事ばかりでかなり悩んでいるらしいけど、セルシアが協力してるみたいだから、きっと大丈夫。

レインはいろんな街をまた旅してるみたいだ。
但し、今度は目的の無い旅ではなく、かつてのグローバルグレイスの様な医者の居ない街を巡っているらしい。
――彼はもう一度回復術の勉強を始めている。今度こそ道を反らすこと無く、医者という職に就く為。
だから医者の居ない町を巡っているのだろう。自分の力で今度は誰かを‘救う’為に。
時々噂を聞く。医者の居ない街を巡る天才医者が居るって。それはきっとレインの事だと信じてる。
そしてその噂が、どうか行方を晦ましたノエルの耳にも届いていますように。

マロンは家で休養中だ。
元々体が強くなかったから仕方ないけど、夢喰いとの戦いで大分体が堪えたらしい。今度こそ本当に体調を崩して、今はベッド生活。
数ヶ月前にレインが一度家に来てマロンを見てくれたけど、当分はこのままかもという言葉をぽつりと呟いていた。
それでも治らない訳じゃないらしい。今は体がかなり疲弊してしまっている―逆を言えば疲弊しているだけ―らしく、体の疲労が取れればまた元の
様に動けたりするみたいだ。そんな訳でマロンは、今はリハビリと、更なる高位な回復術の勉強を続けている。
多分、体が治ったらレインに着いて行くつもりなんだろう。
あたしと同じunionが入るのが夢って言ってたけど、彼女も最初は医者を目指していた。だからあたしが引き止める資格は無い。


そしてあたしとロアは、unionの仕事に追われ気味。
レインとアシュリー、マロンがあたし達の作ったunion――WISH*UNIONを抜けた為、このまま廃止になる予定だったんだけど。
どうやらcross*union元リーダーがどっかで裏引きしたらしい。何時の間にかunionメンバーがとんでも無い事になってて正直びびった。
それとあたし達の知らないところで、cross*unionがつぶれた理由はリーダーがBLACK SHINEと繋がっていたことが主な原因だったという事が表ざ
たになっていたらしく、更にその事実を暴いたのはあたしとロアって事になっていたらしい(間違ってはいないけれど、何処でそんな情報が漏れたん
だか)。
そんなあたし達が経営するunionだ。少なくともcross*unionに滞在していた人間の殆どがこっちに流れてくるのは当然だ。
という訳で小規模だったunionは何時の間にか大規模になっていた。流石に本部を設置せざるを得ない状況になり、cross*unionが前に使ってい
た本部を借りた。家から最も近い場所だし、元cross*unionリーダーが快く貸してくれたので、多分問題ない。と思う。




カレンダーに、大きな丸を付けた。
後1日。カウントするだけで、思わず微笑んでしまう。

「…明日、だな」

「ん。そうね」

横から顔を覗かせたロアの言葉に振り返り、頷く。
――別れ際。私達は約束を結んだ。
今日があたし達のスタート。
お互いが目指していた姿に少しでも近づけたら、そしたら。


あの場所で、又会おうね。って。



「体、大丈夫?」

ベッドに座っているマロンに問い掛けた。彼女は笑顔で頷き、ゆっくりとベッドから立ち上がる。
――走るのは流石に無理だけど、歩く事は出来るみたいだ。薬も念入りに沢山持っていくからきっと大丈夫。



明日は、又彼等に会える。
かつての仲間に。

――全ての‘はじまり’と‘終わり’の場所で。









-True End-




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