孤島、グランドパレー。
世界のほぼ中心の海に浮かぶ謎に包まれた小さな孤島。
未発見の生物や植物の多さで知られているが同時に危険性の高い孤島としても知られて居る為、調査に行く者は余程の物好きか、生物科を得意
とするunionか。
あたしの所属しているunionは傭兵や護衛を中心とする大型union。しかもあたしは割りと低い地位だった。
――だから思いもしなかった。
危険性に溢れた未知の島。グランドパレーに足を踏みいれる事になろうなんて。
…そしてこの運命が、出会った仲間が、あたしの運命を大きく左右するなんて。


*NO,1...旅立ち*


「…グランド、パレー…?」
彼女は思わず問い返した。その表情には引きつった笑みが張り付いている。
「ああ、グランドパレーだ」
有無を言わさずに彼女目の前の男――union【cross*union】の総指揮官が返答した。
「何で俺とイヴ何ですか?……あ、いや。文句が有るって訳じゃなくて…俺とイヴじゃ地位が違うと思うんですけど」
彼女、イヴ・ローランドの隣に立つ彼――ロア・マッドラスの問いに総指揮官が喉を鳴らす。
決して怒っていると言う訳ではない。少し愉快そうな笑みを浮かべて男は言葉を発した。

「君等は同期だし、仲も良いだろう。
グランドパレーと言ったら長旅だからな。仲が良い方が行動もしやすいだろうという事だ」
「…再確認させて下さい。つまりあたしとロアの2人で、あのグランドパレーに調査しにいけ。と?」
「まあ、平たく言ってしまえばそうなるね」
肯定の返事に、イヴの眉が釣りあがった。

――孤島、グランドパレー諸島。
最近になって発見された、海のほぼ真ん中に浮かぶ小さな未知の孤島。
そこには未確認の生物、魔物、植物等が覆い茂っている無人島。――だと言う。
確か前調査しに行ったunion…何処のunionだったかは忘れたけれど、とにかくそのunionが言っていた。









「…そんな任務を任されちゃったんだ?」

「……」

もう返す言葉も無い。
先ほどcross*union本部で合った会話を脳内再生しながら、イヴは目の前の少女の問いに頷いた。
ロアに関しては先程から溜息しか吐いていない気がする。
そんな2人の姿に2人の親友である少女――マロン・リステリーが苦笑した。
「でも、cross*unionのリーダーだってイヴとロアの実力を認めて依頼したんだもん。2人共頑張らなくちゃ」
「そりゃ、そうなんだけどさぁ……」
力なくロアが頷いた。そんな彼の姿を見て、更にイヴまでもが項垂れる。
溜息を吐いたらロアと丁度同じタイミングになった。複雑な気分で居ると、マロンがくすくすと声を上げて笑う。

「頑張ろうよ。私も行くから」
「…ま、初めからそうするしかないって事は分かってるけど…ね」
マロンの言葉に彼女はそう言って、一度大きく深呼吸をした。
それからゆっくりと目を開け、座っていた席を立ち上がる。イヴに釣られて2人も立ち上がった。

「行こう」
歩き出すと、2人も笑ってその隣を着いて来る。
グランドパレー諸島は此処から結構遠い場所。その間には船に乗ったり洞窟を潜ったり、割と困難な道続きだ。

3人ともこれだけの長旅は勿論初めてになる。
けれど、自分達ならなんとかなる――。
彼女達はそう信じて街の外に向い歩き出した。










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